超広角レンズで撮影した写真をみると迫力があってかっこいいですよね。特有の歪みなどもクセになります。しかし、クセがあるということは上手く使いこなさないと失敗作を量産してしまいます。今回は、クセの強い超広角レンズの特徴と使いこなすためのコツ、オススメ被写体を紹介したいと思います。
目次
超広角レンズとは?

広角レンズや超広角レンズについては厳密な定義は無いようですが、以下のような定義をよくみます。
広角レンズ | 35 mm – 24 mm |
超広角レンズ | 24 mm – 10 mm |
画角が広くなればなるほどクセや特徴が色濃く出てきます。私の感覚としては広角レンズの扱いはそこまで難しく無いように感じますが、超広角になるとちょっとコツが必要になってくるように感じます。しかし、使いこなせると普段見ている景色もいつもと違うように見せることも出来ます。
ちなみに、私はSony FE 16-35mm F2.8 GMという超広角レンズを愛用しています。
超広角レンズの特徴
広角レンズの特徴は以下のようになります。
- 写せる範囲が広い
- パースペクティブが強く出る
- リフレクションを撮りやすい
- 手振れに強い
- フィルター径は大きくなりがち。そもそもフィルターがつけられないものもある
- ケラレやすい
写せる範囲が広い

ISO 100 / 16 mm / f 2.8 / SS 1/10 s
超広角レンズの写せる範囲は標準レンズ(大体広角は24 mm)に比べるとかなり広くなります。この効果を一番感じるのは室内での撮影です。この写真は室内での撮影ですが16 mmもあれば端から端までしっかりと写せます。

ISO 100 / 16 mm / f8 / SS 1/250 s
屋外でも大きいものを写してインパクトを与えることができます。風景やビルのような高い建物とも相性抜群です。
パースペクティブが強く出る

ISO 100 / 16 mm / f8 / SS 1/100 s
パースペクティブとは遠近法のことで、近いものを大きく遠いものを小さく描く方法のことです。よくパースと短く呼びます。この効果によって迫力を生み出すことができます。
この写真の写真の場合は、左右にあるガラスの枠や廊下が手前では高く大きく写り、奥に行くほど低く小さく写っています。広角レンズで撮影すると手前と奥の大きさの差が大きくなります。このパースを上手く使うと迫力のある写真が撮れます。
確かに超広角レンズを使えばパースはつきますが、ちょっとしたコツがあるとさらに効果的に写ります。そのコツについては別の記事で紹介しているので是非参考までに読んでみてください(リーディングラインの使い方:遠近感を出すという見出しの部分に書きました)。
【参考記事】遠近感と目線を誘導する構図を作る「リーディングライン」について考えてみる
遠近感と目線を誘導する構図を作る「リーディングライン」について考えてみる – よるどりリフレクションを撮りやすい

ISO 4000 / 16 mm / f7.1 / SS 1/15 s
リフレクションは水面などの反射面にレンズを近づけて撮影します。この時、画角が広くないと意外と全体が写せません。超広角レンズだと全体を綺麗に収めることができます。リフレクションの撮影方法などをまとめたページに作例も載せていますが、大体超広角レンズで撮影しています。
【参考記事】リフレクションの撮り方:反射を利用してカメラで鏡の世界を表現
リフレクションの撮り方:反射を利用してカメラで鏡の世界を表現 – よるどり手振れに強い

ISO 2500 / 16 mm / f6.3 / SS 1/10 s
「1/焦点距離以上のシャッタースピードにすれば理論的には手振れが防げる」というルールがあり、広角レンズの焦点距離をルールに当てはめるとシャッタースピードは遅くなります。このように、シャッタースピードを遅くできるので、手振れに強いと表現しました。
フィルター径は大きくなりがち

全ての広角レンズが当てはまるわけではありませんが、フィルター径が大きくなりがちという欠点もあります。今使っているレンズSony FE 16-35mm F2.8 GM のフィルター径は82 mmと大きいです。大きければ比例してフィルターの値段も上がります。例えば、82 mmの保護フィルターだと約3600円、一般的に用いられるND8フィルターだと5000円近くします。
また、ものによっては出目金レンズと呼ばれるレンズの前玉が出っ張っているレンズも存在します。この出目金レンズではそもそもフィルターを装着することができません。16 mmよりも広角なレンズや大三元レンズのような明るいレンズは出目金レンズである傾向があります。
ケラレやすい

ケラレとは上の写真の角のように黒い影が映り込んでしまう現象のことです。広角レンズはこの現象が起こりやすいです。原因としては、レンズフードがズレてハマってしまい影になることや、NDフィルターやC-PLフィルターを装着した際の影などです。この写真の場合は横着して保護フィルターとC-PLフィルターをつけてケラレました。
広角レンズを使う場合は、フードはしっかりとつけフィルターは薄型を選び、重ねてつけることはやめましょう。
超広角レンズを使いこなすためのコツ
水平や垂直を強く意識
超広角レンズを扱う上で最も大切なことは水平と垂直を意識することです。逆にここを抑えるとクセを活かした写真になります。もし、水平や垂直がズレてしまうと、若干のズレがパースなどによって強調されてしまいバランスの悪い写真になってしまいます。16 mmくらいの画角になると被写体によっては微妙なズレがバランスの悪さにつながります。
主題をなるべく中心におく

ISO 640 / 16 mm / f7.1 / SS 1/10 s
写真の構図内に主題がある場合は、なるべく中心に近いところにおきましょう。その理由は、広角レンズの特性で端に行けば行くほど歪んでしまうからです。狙いがない限りは真ん中においたほうが無難です。
ローアングルからの撮影

ISO 80 / 16 mm / f11 / SS 30 s
超広角レンズのパースの効果をさらに強めるためには、ローアングルからの撮影がオススメです。この写真は、三脚を最大まで伸ばさずに撮影しています。低く撮影することで東京タワーの高さを強調しています。
意図せず無駄な余白を作らない

上の写真は広角レンズを全く使いこなせていない写真です。広く写せるからこそ、無駄な余白が目立ってスカスカな写真になってしまいます。こんな写真にならないように空白の面積を調節しましょう。
無駄な余白をなくすコツとしては、何か目立たせたい主題を決めると余白のコントロールがしやすくなります。
オススメの被写体
ビル

ISO 100 / 16 mm / f 9 / SS 1/160 s
やはり、一番活躍できるのは高い建物を撮影する時だと思います。室内でも屋外でも建物の迫力を表現できますし、端まで写すことができます。先ほども書いたようにアングルを低くするとより迫力が出せます。
展望台

ISO 100 / 16 mm / f13 / SS 13 s
展望台から景色を撮るとなると標準レンズや望遠レンズがメジャーだと思いますが、超広角レンズもオススメの選択肢です。主題を目立たせるというよりは、光の絨毯のように撮影することができます。
天井

ISO 1250 / 16 mm / f 8 / SS 1/30 s
場所によっては規則的な面白い絵が撮れるので、天井は面白い被写体です。天井を狙って撮影するとなると場合によっては16 mmのレンズでも足りなくなることがあります。
ジャンクション

ISO 100 / 16 mm / f 16 / SS 10 s
ニッチな夜景ですがジャンクション夜景にもオススメです。弧を描く高速道路を上手く表現するために超広角レンズは必需品です。
まとめ
今回は超広角レンズの特徴を踏まえてどんな写真が撮れるのかを紹介しました。コツさえ掴めば迫力のある写真が撮れて面白いレンズです。クセはありますが慣れれば簡単です。
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